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〜 大気汚染は地球の日傘
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ミツバチたちの反乱
ちょっと前に「消えたミツバチ」について書いたけど,
あれはあくまでも日本の状況に限った話であった。
ところが,世界規模でも,ミツバチが減少している。


特に,米国で報告されているミツバチの“失踪”は,
「蜂群崩壊症候群(colony collapse disorder)」と呼ばれ,
州によってはハチの群れの6割が消滅したとされる。


CCDが初めて報告されたのは2006〜2007年にかけてだが,
ここ10年ほどの間に,米国では急速に広がっていた模様。
2007〜2008年にかけては,コロニー崩壊のピークとなり,
授粉用ミツバチの3割以上が姿を消したとされる。


日本の場合,女王バチの輸入が止まったり,
農薬やダニで死んでしまうなどの例であったが,
米国のCCDの場合,「消える」という点で異なっている。


CCDは実に奇妙な現象だ。働きバチたちが一斉に消失し,
巣や周囲から,死骸がほとんど発見されないのだ。
巣の中には,女王バチと幼虫だけが残されるが,
彼らは働きバチなしには,生きていくことすらできない。
よって蜂群は崩壊してしまうのである。


ネオニコチノイド系の農薬,ノゼマ病などの感染症,
ヘギイタダニによる寄生などの影響も指摘される。
また,最近になって注目されている感染症が,
「イスラエル急性麻痺ウイルス(IAPV)」だ。


IAPVというウイルスは,米国外から侵入してきたとされるが,
CCDの被害が出たコロニーのほぼ全てで見つかったという。
しかし,全てをIAPVのみでは説明できないため,
やはり複合的要因によるものと,多くが説明されている。


さて,ここからのお話はあくまでもファンタジーである。
ミツバチが大量死したのならまだ話は分かるのだが,
忽然と「失踪」したのは,実にミステリーなのだ。
科学的な説明では,説得力が不足する気がしてならない。


私の考えでは,多分,嫌気がさしたのだと思う(苦笑)。
「働きバチ」と呼ばれるけど,都合のよい呼び方なわけ。
働きバチ本人たちからみれば,女王バチと子供たちのために,
栄養となる蜜を集めて,使命感を果たしているわけだ。


そのミツバチを,人間は勝手に受粉用として利用して,
挙句の果てに,集めてきた蜜さえも強奪しているわけだ。
強制労働を強いられ,さらに成果物を搾取されては,
仮に人間であれば,誰だって逃げたしたくなるでしょ。


人間の世界でも同じ問題が起きてもおかしくはない。
働いている人間がまだ多く,僅かながらでも,
所得が手元に残っている状態ならばまだ耐えられる。


しかし,今後社会保障費の歳出は増え続けるわけで,
年金や医療費の負担は,毎年確実に増えていく。
一生懸命働き続けても,自分の糧にはならない,
なんて状況に至れば,逃げ出したい気持ちにもなる。


ミツバチは,地球温暖化,農薬,ウイルス,寄生虫など,
ストレスに晒されているというのは専門家の一致した見方。
では,人間もストレスに耐えられなくなったときは,
ある日,突然,姿を消してしまうのか…。
| ショートコラム | 21:59 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
理容と美容
世の中不況とはいえ,政府の経済対策などに頼らず,
安定的に経営を続けている企業も存在する。
その1つが「QBハウス」を運営するキュービーネット。
QBハウスは,「10分 1000円」の理髪方式が売り物。


たった10分だから,当然散髪のみで,洗髪はない。
勿論,シェービングもなければ,肩もみもない。
さらに,理容師とのくだらない世間話もない(笑)。


QBハウスでは洗髪設備そのものが店内にない場合が多い。
散髪時に細かい髪の毛が頭部に残ってしまうが,
エアーウオッシャーと呼ばれる装置で吸い取る。


「不況時,料金が安いから儲かっているのだろう」
と思いがちだが,実はそうではないのだ。
男性サラリーマンが顧客の主体と思ってしまうが,
実は子供と女性を取り込んだのが大きいという。


子供なんて,ザックリ切るだけで十分でしょ。
良心的な理容店では,子供料金を低く設定しているけど,
注文の細かい髪型と丸刈りが同じ料金,
っていうのも確かにおかしい話である。


さて,子供は分かるとして,なぜ女性が10分散髪なのか?
妹などを見ていると,自分で前髪を揃えて切ったりしており,
単に毛先を揃えるだけっていう需要は十分あるようだ。
その受け口として10分散髪が利用されているのだ。


ところで,QBハウスは理容店なのかといえば,
実は,理容店と美容店の割合は半々ぐらいだという。
とはいえ,サービスの内容に差はない。
なぜなから「カット」しかしないため。


理容店と美容店の違いはといえば,
前者は顔そり(シェービング)が認められ,
後者はパーマや化粧などが認められており,
逆はやってはいけないということになる。


だから,カットのみならばどちらも問題ないわけだ。
ところが法律の規制はどんどんないがしろにされ,
実際には,理容店でもパーマはかけてくれるし,
美容店で化粧の一環として,顔そりもする。
いわゆる「ユニセックスサロン」も登場している。


もはや理容師と美容師を分ける意味がなくなっている。
女性が理容店へ入るのはかなり抵抗があるだろう。
逆に男性が美容店へ入ることにも抵抗がある。


しかし,女性が顔そりを望むことは多いそうだ。
私は男なので,散髪と同時にシェービングは当たり前だが,
やってもらった直後は,お肌がツルツルになっている。


毎日,髭剃りはしているけど,電気シェーバーでは,
産毛などの細かい毛を剃ることはできない。
だから,理髪店の顔そりで,細かい毛がビッシリと取れる。
手でなでてみると剃り残しがなくて,非常に気持ちがいい。


女性のほとんどは化粧をしているようだが,
化粧のノリもよくなるとの評判である。
さらに,エステ以上の効果との声もある。


そこで,女性向けシェービングを提供するサロンとして,
ガブルス・ジャパンでは「リヴォーン」を展開している。
リヴォーンは,女性専用サロンであり,
基本的にすべて個室で,スタッフは全員女性,
さらにパウダールーム完備など,配慮が行き届いている。
理容店とは,比較にならないほど充実している。


10分散髪にしても,女性向けシェービングにしても,
理容と美容の垣根が取り払われている点が共通している。
本来,法律的に厳格な区別がなされているのだが,
実態がその規制を乗り越えてしまっている。


法律の規制を撤廃するのか,このまま形骸化していくのか,
いずれにしても,利用者はそれらの違いに関係なく,
自分に合ったサービスを選ぶし,業界においても,
的確なサービス提供に努めてもらえばいい。
| ショートコラム | 12:44 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark | 昨年の記事
消えたミツバチ(下)
前回書いたとおり,ミツバチ不足の最大の要因は,
女王バチを海外からの輸入に頼りすぎていること。
ところが,それだけでは説明できない事例もある。


最近,活動時期である夏場,特に水田付近で,
ミツバチが大量死する報告が増えてきている。
稲の花から蜜を摂取することと関係ありそうだ。


さて,多くの水田には農薬が散布されている。
では,薬害による影響なのかといえば,
水田では昔から農薬は使用されている。


そうではなく,農薬の種類が変わったのだ。
従来の農薬は,カメムシへの効果が薄かったため,
4,5年前に登場したネオニコチノイド系の農薬は,
人間や家畜への影響を弱くしながら,
カメムシに対しての殺虫効果は高くなったという。


ネオニコチノイド系の普及と関係があるのではないか,
という説も有力になってきているのだ。
夏場と水田ということで,時期と場所が一致する。


そこで今年からは,養蜂家,JAなどが連携をとり,
農薬の散布時期の情報を共有したり,
農薬の種類を変えるなど,ミツバチ保護に動いている。


また,農薬だけでも説明できない事例もあり,
それがダニの寄生による発育障害である。
ヘギイタダニと呼ばれるダニがミツバチの天敵とされる。


このダニは,ミツバチの背中や腹部に寄生し,
巣箱の中で,ハチの幼虫の体液を吸って繁殖する。
ヘギイタダニはもともと国内にいたダニだが,
従来は,殺虫剤で駆除できたそうだ。


ところが昨年頃,殺虫剤の耐性をもつダニが現れて,
被害が大きくなってきたという。対応策として,
ヘギイタダニに効く「アピバール」というダニ駆除剤が,
今年の4月,アリスタライフサイエンスから発売された。
高い確率で,ヘギイタダニを駆除できるとされている。


このように,今年からは徐々に蜂群が増える期待感もある。
しかし,ダニは別として,農薬は人間へのしっぺ返しだ。
ミツバチがいないと果樹栽培が成り立たないというなら,
もっとミツバチにやさしい環境を提供すべきだろう。
| ショートコラム | 11:06 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark | 昨年の記事
野菜工場(下)
前回,野菜工場と照明器具には密接な関係があると書いた。
野菜工場が登場した頃には,当然LED照明など存在しておらず,
白熱電球や蛍光灯を使うしか手段はなかった。


ただ,白熱電球は光熱費がかさむし,蛍光灯は寿命が短い。
両方の問題を解決するのがLED照明なのだが,
LEDには光量不足というデメリットを抱えている。


光量が足りなければ,それだけ個数を増やす必要があり,
結果として初期コストとランニングコストがかさむ。
これでは,本末転倒である。


従来,野菜工場用のLEDには「三元系LED」が使われていた。
三元系とは,アルミニウム,ガリウム,リン,ヒ素など,
3つの元素から構成されることを意味する。


低コストで大量生産しやすいのは,ガリウム・リンだが,
三元系でもまだまだ発光出力が低い課題を抱えていた。
昭和電工では2003年12月,フリップチップ型として,
超高輝度四元系LEDの開発に成功していた。
四元系には,アルミニウム,インジウム,ガリウム,
リンが使われている。


しかし,そのままでは野菜工場には適さない。
そこで昭和電工では光合成反応の促進に適するように,
波長を660ナノメートルに設定した四元系LEDを,
開発したと今年4月2日に発表した。


発光出力は11ミリワットと波長が660ナノのLEDでは,
世界最高水準の出力を達成したという。
同等の明るさを得るために必要な電力を,
約7割削減できるとしている。


同社は,「植物工場」用としてサンプル出荷を始めており,
普及はこれからだが,省電力と高発行光を兼ね備えた,
LED照明の品揃えが充実し,価格が下がっていくことで,
野菜工場に参入する企業が多くなってくるはず。


経済産業省と農林水産省は,植物工場を,
今後3年で3倍に増やす計画を掲げている。
露地栽培に比べ割高な生産コストの下げるために,
照明器具が担う役割は非常に大きいはずだ。
| ショートコラム | 12:32 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark | 昨年の記事
消えたミツバチ(上)
今年は果物の値段が高くなるかもしれない。
最近,メディアでも取り上げられているが,
ミツバチが不足しているからだ。


人間はミツバチを,2つの目的で利用している。
1つがご存知のとおり,「蜂蜜の収集」,
そしてもう1つが「花粉の交配」である。


後者の役割は意外と知られていない。
ところが,果物や野菜を栽培する農家にとって,
ミツバチは,受粉の役割を一手に担ってくれる。
「働きバチ」とはまさにそのとおりである。


なぜ,ミツバチが足りなくなったのか?
これには複合的な要因が組み合わさっているとされる。
最大の理由は,女王バチが足りなくなったためだ。


ミツバチは,気温13〜30度、湿度75%以下で,
活発に活動するため,冬は女王バチも育たない。
ところで,転飼養蜂家と呼ばれる人たちがいて,
彼らはミツバチの巣箱を抱え,全国を行脚する。


つまり,冬は南国,冬は北国へ移動するわけだ。
ミツバチが活動しやすい時期と地域を選んでいる。
それ以外は,冬の時期はどうしても絶対数が少なく,
特に女王バチは,日本ではまず手に入らない。


そのため冬時期は,「輸入」に頼っている。
女王バチの供給国は,日本と季節が反対側の国だ。
オーストラリアからの輸入が約9割を占めている。


ところが,2007年11月から,女王バチの輸入がストップ。
これは,オーストラリアで「ノゼマ病」が発生したためだ。
ノゼマ病とは,ノゼマ科の原虫がミツバチの腹部で増殖し,
飛翔を不可能にするだけでなく,排泄物にも寄生し,
これが感染源となって,伝染していくのである。


オーストラリアでは日本の衛生条件を満たせないと判断し,
輸出を差し止めておいたようだが,その後一度出荷したが,
日本の水際検疫で引っかかり,そのまま出回ることはなかった。


ミツバチの寿命は1カ月ほどで,これを補うため,
女王バチが1日に1000個程度の卵を産むとされる。
蜂の群れを維持していくためには,
女王バチの存在は欠かせない。


食料と同様,輸入に頼っている現状にも問題はあるが,
実は,女王バチが足りないだけが要因ではないのだ。
その問題については次回。
| ショートコラム | 19:12 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
野菜工場(中)
建設業が植物(野菜)工場に関心を持っているのは,
今後,工事受注の増加が見込めないという事情もあるが,
建設技術のノウハウを活用できる意味もある。


ゼネコンの中では,大成建設が野菜工場に力を入れている。
社内に農業サポートを推進する専任チームを立ち上げ,
今年の4月から,野菜工場の建設受注に加えて
野菜の栽培管理などノウハウをパッケージにするなど,
多様な営業活動を行っているという。


工場建設というハード面は従来から建設業の強みだが,
野菜栽培管理については,素人同然である。
そこで,横浜にある農業ベンチャー「グランパ」に出資し,
野菜の栽培ノウハウなどを習得したという経緯がある。


もっとも,野菜工場は,ハード面に依存する部分も多い。
まず,培養水の養分と温度を常に制御する必要があり,
さらに室温などをセンサーチェックして,
室温が上がると天井にある遮光幕を自動的に開閉させる。


そのような装置は,一般にはあまり販売されておらず,
独自の開発が必要になる。このような部分については,
大成建設の技術を導入したようだ。
野菜工場は文字どおり,「工場」なのである。


だとすれば,既存の工場を転換することもできる。
現在,未曾有の不況によって,休止している工場も多い。
それらを野菜工場へ転用するという提案も,
大成建設の専任チームを行っているようだ。


野菜工場に注目する業種は,建設業にとどまらない。
三菱化学も京都のベンチャー「フェアリーエンジェル」に,
昨年6月に資本参加して,野菜工場の共同開発に着手。


三菱化学の場合,中東での事業進出を目指している。
同地域の多くは砂漠地帯に位置することから,
みずみずしい生野菜を食べる機会はまずない。


中東は,野菜の生育環境は厳しいが,石油を持つ。
金融危機による世界同時の影響は少なからず受けたが,
石油資産が今後もカネを生む資産であることに変わりない。
マーケットとしてはまだまだ有望である。


中東にはカネがあっても,水が少なく,高温なため,
基本的に野菜の露地栽培は適さない場所といってよい。
野菜工場は屋外で栽培するより水の量を減らせるため,
野菜工場に対する関心も高くなる可能性がある。


さて,三菱化学もベンチャーの技術をベースとしてるが,
フェアリーの栽培方法も,厳格な環境管理が特徴。
しかもなるべく自然に近い環境を再現している。


光は昼と夜を繰り返すよう,一定時間ごとに明暗をつけ,
温度も上下させて,一日の間にメリハリをつける。
自然と違うのは,「土」を一切使わないこと。
培養水のみで生育させるため無駄な水を使わないし,
雑菌がつきにくいので農薬の量も減らせるのである。


あと自然と異なる点は,光合成を促進させるため,
二酸化炭素の濃度を通常の3倍程度に高めている。
レタスの場合,露地栽培の7倍近い量を収穫できる。


ところで野菜工場は,工場建設の初期投資以上に,
光熱費などのランニングコストの負担が大きい。
特に照明器具は白熱電球を使うと電気代が高くつく。


そこで,最近の野菜工場は,LED照明が主流である。
初期コストはかかるものの,電気消費量が少ないし,
また白熱電球や蛍光灯に比べて寿命がずっと長い。


さらに青色LEDの開発によって,色の自由度が広がった。
より自然に近い「光」が可能になったのである。
フェアリーエンジェルのの設立は4年前だが,
LEDメーカーの「シーシーエス」の事業が基になっている。


シーシーエスは,1990年代初めからLED開発に取り組み,
検査用LEDでは国内約6割のシェアを握る有力メーカー。
その傍ら,LED照明を使った野菜工場事業に進出したが,
製造業が不況の直撃を受けている中で,
検査用LEDの業績も連動して悪化している。


そこで,シーシーエスから野菜プラント事業を分離して,
フェアリーを連結子会社化して,野菜工場事業を譲渡。
シーシーエスは,今後LED本体事業に専念する。


野菜工場と照明器具に密接な関係がある点は興味深い。
これは,光があってこそ野菜が育つことを意味する。
では,光であれば,何でもよいというわけではない。
そこで次回は,先端の照明器具についてお話。

(つづく)
| ショートコラム | 20:10 | comments(0) | trackbacks(1) | pookmark | 昨年の記事
白いたい焼き
今年は「たい焼き」がこの世に登場してから,
ちょうど100年が経過するという。
根拠は,“元祖たい焼き”とされる「浪花家総本店」が,
今年で創業100年を迎えるからだそうだ。


ところが,“元祖たい焼き”には異論もある。
三重県津市にあった「日の出屋本店」も元祖を名乗っていた。
しかし,1980年代に日の出屋は廃業してしまったので,
いまとなっては論争に挑むこともでできない。
(ちなみに,日の出屋のたい焼きは,同じく津市にある
 ロシア料理店「ビストロぴあっと」に引継がれている)


たい焼きはけっして,特別なメニューではない。
たい焼きは今川焼きの改造型とされている。
使っている食材・調理法はほぼ同一であり,
焼き型が鯛の形をしている違いしかない。


たい焼きに似たものとしてたこ焼きもあるが,
意外なことにたい焼きの方が歴史は古い。
たこ焼きは昭和に入ってから登場したが,
たい焼きは明治時代から既に存在していた。


また,たい焼きはたこ焼きよりも庶民的な食べ物だ。
たこ焼きは1パック400円低度するのが一般的だが,
たい焼きは1個売りから可能であり,
その単価は100円〜150円程度に抑えられている。


そもそも,たい焼きが鯛の形になったのも,
庶民には高嶺の花である本物の鯛を食する機会がないため,
せめておやつに鯛の気分を味わってもらう,
という菓子職人の気概だったとされている。


単価の安さから,不況になると売れるといわれている。
その根拠として,第一次原油危機の直後の1975年,
全国各地で突然の「たい焼きブーム」が訪れたからだ。


しかし,「不況=たい焼きが売れる」という図式は,
あまりに短絡的と言わざるをえないだろう。
というのも,そのときのブームは,
子門真人の「およげ!たいやきくん」によるものだから。


さて,昨年世界を襲った金融危機であったが,
不況を先取りする形で,たい焼きに注目が集まりだしていた。
まず,2008年3月5日,ギネスブック掲載記念として,
「およげ!〜」のマキシシングル(DVD付き)が再発売。
これは,不況とは全く関係の無い話であろう。
「たい焼きの呪い」というのなら,別の話になるが…。


しかし,CD再発だけで盛り上がるほど甘くはない。
ポニキャンも二匹目のドジョウを狙ったわけでもあるまい。
いま,再びたい焼きが注目され始めたというのも,
“新種”のたい焼きが登場してきたからである。


「カラフルたい焼き」と呼ばれることもあるが,
その中でも最も目をひいたのが「白いたい焼き」だ。
たい焼きといえば茶色,またはキツネ色が普通。
だが,白いたい焼きは,本当に見た目が白いのである。


調理法からして,焼き色が付くのが当然と考えるだろう。
茶色くなるのは,小麦粉が焼けた影響によるものだから。
であれば,生地の成分を変えてみればいいわけだ。


ところで,白いたい焼きブームは九州から始まったとされる。
「白いたい焼き」用の粉は,福岡市にある鳥越製粉が開発し,
2004年末に発売したが,当時は全く売れなかったそうだ。


小麦粉も焼き色がついてしまうが,たい焼き用の粉には,
糖分が含まれているため,さらに焼き目がつきやすい。
そこで,糖分の量を少なくして,他の原料を入れることで,
カラフルな生地を実現したのである。


白いたい焼きには,タピオカの粉が入っているようだ。
でんぷん粉を多くするなどして,モチモチ感も増している。
地元九州のたい焼き販売店が白いたい焼き粉に注目し,
これが大変人気になって,全国へも普及。


東京では,神田にある「たいやき神田達磨」が代表的だ。
一方,白いたい焼きに注目が集まるにつれ,
他の色のカラフルたい焼きも関心が出てきた。


「黒いたい焼き」を売っているのが,
代官山にある「代官山たい焼き黒鯛」。
黒ゴマを混ぜ込んだたい焼きを提供している。


“たい焼きブーム”が静かに広まるにつれ,
大手外食チェーン店でも,たい焼きに着目している。
焼き肉「牛角」のデザートメニューでも登場。
「炙れ!たいやき君」として,焼肉用の七輪で焼き,
表面をカリッと焼いた食感を楽しめるという。


前回と同様,いずれブームは廃れるのだろうが,
白いたい焼きだけは,生き残っていけるのだろうか。
「赤いたい焼き」が出てくれば面白いけどね。


「紅白たい焼き」として,セットで売るわけよ。
“目出鯛”っていうオチでは,つまらないかな。
| ショートコラム | 08:28 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark | 昨年の記事
野菜工場(上)
政府は4月27日,平成21年度補正予算案と,
税制改正関連法案を,衆議院に提出した。
新年度が始まって早々の時期に補正提出は異例だが,
いわゆる「追加経済対策」を実施するためである。


額は約14兆円と過去最大規模となったが,
財源のほとんどは国債で賄われることになる。
ばら撒きに終わったら,借金を次世代に押し付けるだけ。
本当に効果があるのか疑わしいのだが,
何もしないという訳にもいかないのが悩ましい。


さて,追加経済対策の目玉は環境関連消費の刺激。
エコ家電やエコカーへの買い替えを促進するなど,
環境と大量消費という本来相反する要素を取り入れるなど,
二兎を追う施策が功を奏するのかは未知数。


他は,住宅取得減税や公共事業前倒しなど,
古色蒼然としたメニューがやたらと目につくが,
その中で1つ,面白い施策があった。


それが「植物工場の普及促進」というものである。
植物工場が誕生したのは1980年代の話なので,
決して目新しいものではないように思える。


しかし,現在に至るまで,普及にはいたっていない。
植物工場黎明期,キユーピーなど大手が進出したものの,
品質とコストの両面の課題をクリアできなかった。


まず品質だが,露地栽培に比べて野菜工場の場合,
温度・日照など自然環境を完全再現することが難しい。
例えば,野菜に強い光を当て続けるとストレスを感じて,
苦みが生まれてしまい,食味が落ちてしまうという。


照射する光の波長も太陽に近づける必要があるし,
それを時間周期によって制御する必要がでてくる。
工場栽培にはノウハウの蓄積が欠かせないとされる。


品質をクリアしても,次にコストの壁が立ちはだかる。
野菜工場には当然,「工場施設」が必要になる。
畑を耕すだけというわけにはいかないのだ。


工場建設による設備投資額がかさむさけではなく,
光熱費などのランニングコストもかさむ。
初期コストは従来の生産施設の17倍,
運営コストは同じく47倍必要になるとされている。


つまり,野菜工場のハードルは相当高いわけだ。
とはいえ,野菜工場には従来にない強みも持っている。
それが「気象変動に左右されない生産性」である。


従前の露地栽培は,気象変動影響を避けることはできず,
台風や低温,干ばつなどによって壊滅する場合もある。
安定供給という観点から,野菜工場は理想的なわけだ。


野菜工場は自然界から隔離されているため,害虫がいない。
だから,農薬を可能な限り減らせるのも野菜工場の強み。
安定供給に加え「安心・安全」の付加価値を持つため,
工場育ちの野菜は質的なメリットが大きいのである。


さらに,1年あたりの収穫量が飛躍的に増える。
通常の露地栽培では,二期作が限界となる。
しかし,野菜工場では,基本的に連作が可能。
例えば,レタスでは1年に十数回も収穫できる。


量・質ともにメリットだけを見れば,良い事尽くめだが,
やはりコスト低減を実現することが課題になる。
そこで政府による植物工場の普及支援となったわけだが,
今回の補正予算には146億円が計上されている。


植物工場普及では,経済産業省と農林水産省が連携しており,
経産省は50億円で技術研究拠点の整備モデル等を開発し,
農水省は96億円でモデルハウス型植物工場の実証等を実施。


14兆円規模の中では,非常に小粒の施策となったが,
内容も本格的に普及につながるが不明な部分が多い。
植物工場が21世紀型農業となることは間違いないが,
コスト削減の知恵は,役所支援からは出てこない。


やはり民間事業者の知恵が試されるのだろう。
そこで今,注目されている業種が建設業である。

(つづく)
| ショートコラム | 21:59 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark | 昨年の記事
光ディスクと半導体メモリ
今から10年ぐらい前にDVDが普及し始めた。
その頃,既に青色半導体レーザーが開発され,
DVDを凌ぐ高密度ディスクの登場は確実視されていた。


それが現在,Blu-Ray Disc(BD)として市販化され,
ようやく普及期の段階に入ってきたわけだが,
当時は,あまり興味がなかったような気もする。


というか,もしかしたら普及しないんじゃないか,
なんて“淡い期待”があったのね。
ドライブ駆動装置に頼る光ディスクメディアに,
限界を感じていたから。


光ディスクに代わって,半導体メモリが主流になる,
なんて予想を,期待を込めて持っていたわけ。
当時はまだ,SDメモリカードは規格すらなかったけど,
あういう小さいカードがパッケージメディアになる,
というぼんやりとしたイメージを持っていたのだ。


光ディスクもランダムアクセスには優れるけど,
半導体メモリはもっと速度が出せる。
さらにジッターの影響を受けにくい優位性がある。


ただ,大容量化は光ディスクの方が進んでいるし,
容量単価では圧倒的にディスクメディアの方が安い。
それは先刻十分承知だったわけだが,
画期的な技術革新によって,安価な半導体メモリが登場する,
という期待感があったわけだ。


現実には,ドラスティックな展開とはならなかった。
しかし,着実に半導体メモリの容量単価は下がってきている。
16GBのSDHCカードは6,000円程度になってきた。


しかし,BDメディア(25GB)が既に1,000円を切っており,
その差はなかなか埋まらない状況ではある。
ただ今後も半導体メモリの大容量化と価格下落は続く。
43ナノ回路線幅の導入と量産化が進むためだ。


SDHCカードの次の規格では,64GBをサポートするはず。
そこで容量64GBのカードが1枚当たり数百円程度となれば,
音楽ソフト会社も採用する可能性はないだろうか。
まあ,現実的には難しいかもしれないけど。

その際,パッケージメディアも新カードへ移行して,
半導体メモリのROM形式で供給していけばいい。
かつてのファミコンのカートリッジみたいな感じね。
当然,サイズは超小型となる。


後はメーカーの思惑渦巻く規格作りということになる。
まあ,これが一番厄介なところなわけで,
実現が難しいところになるところなんだけどね。


特に,東芝のHD-DVD撤退が光ディスク陣営を勢いづかせた。
東芝は撤退とセットでフラッシュメモリ増産を決めたが,
すると他メーカーは半導体メモリに距離を置くでしょ。
東芝主導の規格作りには乗りたくないってね。


半導体オーディオってかねてからの理想なんだけど,
仮に大容量半導体メモリが供給され始めたとしても,
パッケージに仕上がるのはまず不可能なのだろう。


記録メディアとしては既に半導体メモリが使われている。
携帯オーディオプレーヤーでも採用する機種は多い。
それにとどまらず,ミニコンポやカーステレオ,
さらにオーディオ専用機にもメモリスロットを搭載して,
リニアPCMで保存したファイルを再生できる環境が,
提供されていくことがささやかな望みだ。



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コンビニの深夜営業規制
巷では,コンビニの深夜営業が話題になっているようだ。
私はほとんどコンビニは利用しないから,どーでもいい話,
って最初は思っていたのだが,あまりに酷い展開なので,
ちょっとここでまとめておこう。


事の発端は,6月13日付け日本経済新聞朝刊3面にて,
『コンビニ深夜営業規制へ 京都市 景観配慮』
という見出しの記事を掲載したことから始まった。


取材なのか,リークなのかは不明なのだが,
日経のスクープ的な記事で,まず株式市場が反応。
ローソンなど一部コンビニ株が売られた。


また,鴨下一郎環境相は同日の閣議後記者会見で,
「京都市の試みが全国的に広がることは結構なこと」
と発言するなど,景観配慮,環境問題の両面から,
コンビニ深夜営業規制が一気に既成事実化してきた。


突然持ち上がった話だったが,京都市では7月から,
長時間営業をする飲食店に照明などの光量抑制を求めるため,
コンビニに対して深夜営業の規制を盛り込む方針,
という情報を京都市幹部から入手したのがキッカケ。


この報道に,他の自治体もすぐに反応を示す。
翌6月14日,埼玉県はCO2など温暖化ガス排出量削減のため,
コンビニの深夜営業を自粛要請する方針を表明した。
さらに6月17日には,神奈川県も自粛要請の検討を表明。
翌18日には横浜市も自粛要請の検討開始を明らかにした。


これらの動きに対して,6月20日の記者会見で,
「日本フランチャイズチェーン協会」(JFA)の土方清会長は,
コンビニ業界として深夜営業規制に反対する姿勢を表明。


土方会長は,反対の理由として,以下の3つを挙げた。
(1)冷蔵装置は止められないのでCO2の削減効果は小さい
(2)女性・子供の駆け込み寺になるなど,防犯機能がある
(3)災害時にライフライン機能を果たす


(1)は,一般家庭でも同様の問題を抱えており,
冷蔵庫が一番電気を消費する機械なのだ。
次に,照明装置の電力消費量が多いわけだが,
LED照明器具に切り替えるなど,20年前に比べて,
電力消費量の効率は20%以上もアップしている。


JFAの試算では,午後11時から午前7時まで閉店しても,
C02の排出削減効果は日本全体の0.009%にすぎないとする。
計算の根拠が不明だし,微量でもCO2削減に寄与する,
という意見もあるわけだが,時間帯別に考える必要がある。


深夜電力は,原発稼動の条件下において,
最もCO2排出が少ない電気なのである。
日中は工場・オフィス稼動があるため,
電力需要が旺盛になり,電力会社では,
火力発電所等の稼動によって供給をカバーする。


実質的にCO2を削減していくならば,
逆に日中の営業を規制した方が効果は高い。
であれば,深夜営業を行う全ての企業に対して,
適当な場所に太陽光発電所の設置を義務付け,
日中の電力負荷低減を義務付けさせればよい。


火力発電所の稼動を止めるのがCO2削減では重要。
日中に電力のピークが立つのはしょうがないが,
これは水力発電所の放流のみで対応し,
ベース電源は原発が担う構成が理想的。
深夜帯にターゲットを絞っても効果は薄い。
逆に,日中の営業を規制した方がいいくらいだ。


(2)の防犯機能だが,これは反論もあることだろう。
実際,コンビニの深夜営業中に強盗事件が多発している。
また,風紀の乱れた人間の溜まり場になる場合もある。


防犯機能については,まだまだ甘いと個人的に思っている。
強盗事件などが発生した場合,自己処理は無理にしても,
早期検挙につながるような仕組みを整備する必要がある。
コンビニが本当に犯罪抑止力になる事例を積重ねなければ,
防犯機能は説得力を持たない。


防犯機能を高めるには,地域への密着性を持たせ,
さらに地域貢献を積み重ねていくことも必要だろう。
地域住民にとって必要な存在となるならば,
深夜規制の話も安易には出てこないはずだ。


(3)の災害時のライフライン機能だが,
これは先に発生した岩手・宮城内陸地震においても,
その機能が十分に発揮された。


地震直後,ファミリーマートは栗原市などにおにぎり,
カップめん,炊き出し用食材などを提供し,
ローソンも一関市と奥州市におにぎり,
500ミリリットル入りお茶などをそれぞれ寄付している。


コンビニは物流中継拠点として非常に好都合である。
それはバックヤードを保有しているからだ。
おにぎりや弁当などチルド設備が必要な品揃えも可能。


地震から一週間は24時間態勢で救助活動や,
道路の復旧活動が続いていたため,
被災地周辺のコンビニでは深夜での利用客が増えた。


また,コンビニの物流は深夜帯に行われることが多い。
これは,道路事情がガラガラで,燃費を稼げるためだ。
日中のみに物流を行えば,その方がCO2の排出が増える。


そもそも,深夜営業規制は,景観配慮から始まった話。
それがいつの間にか,CO2排出規制に話がすり替わった。
洞爺湖サミットが近づいている影響もあるのか,
各自治体が環境保護施策をアピールするために,
コンビニの深夜営業を“生贄”とした感が強い。


深夜営業をターゲットとするならば,
コンビニに限らず全ての業種を対象とすべきだろう。
ファミレスでは午前4時までの営業も多いし,
ファストフードでは日本マクドナルドが24時間化を進め,
今年5月末の段階で,全店舗の40%が24時間営業だ。


さらに風俗店なども深夜営業が当たり前であり,
発端となった京都市でも,カラオケ店などは多い。
なぜ,コンビニだけなのか,その合理的説明が必要だ。


コンビニは今や,食料品や日用品の販売だけではなく,
税金や公共料金の収納,宅急便の集配,
そして金融機関ATMの機能などを持ち合わせており,
社会インフラの機能を増やし続けている。


京都市の門川大作市長は次のような発言をしている。
「夜型から昼型の生活スタイル変更も必要ではないか」
しかし,夜間に働いている人が多いのも事実。
例えば,看護師の場合,準夜勤と深夜勤の交代は,
午前0〜1時の間に行われるが,
通勤途上でコンビニを利用することも多いだろう。


サラリーマンも深夜までの残業はザラにあるわけで,
深夜帯にお金をおろしたり,公共料金を収納したりする。
残業がない労働は理想なのかもしれないが,
とても一個人では解決できない。雇用主側の問題だ。
それを「生活スタイルを変えろ」と強要できるのか。


深夜営業の可否について議論するならば,
それは自治体レベルではなく,国全体で考える話だ。
自治体がCO2排出の削減を真剣に実行するのであれば,
それは民間企業を“狙い撃ち”にした施策でなく,
まずは自らがエネルギー消費の減少に努めるべきだ。


そもそも「深夜」の定義はどのようなものか?
自治体は「夜11時から朝7時」を1案としているが,
そんなコンビニがあったら不便でしょうがないだろう。
「セブン―イレブン」の名称に引きづられているだけ。
セブンだって,もはや名は体を表してない。


深夜といっても,実際には2時〜5時ぐらいの間だろう。
たった3時間の“閉店”で何の意味が出てくるのか。
毎朝5時には出社する人間もいれば,
毎晩夜11時以降に帰宅する人が多い。
「埼玉都民」が住む地域は特に深夜帯が狭くなるはず。


コンビニの深夜営業規制は小手先にすぎず,
CO2削減の根本的な手段とはならない。
景観配慮の趣旨から規制するのは問題ないと思うが,
CO2削減などという怪しい理由によって,
深夜営業を規制するのは無理があると思っている。



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