CALENDAR
Sun Mon Tue Wed Thu Fri Sat
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
2627282930  
<< November 2017 >>
SPONSORED LINKS
CATEGORIES
LINKS
PROFILE
OTHERS
 
〜 大気汚染は地球の日傘
スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

| - | | - | - | pookmark | 昨年の記事
今なぜか,ハイボール
本日の日本経済新聞朝刊13面では,
『サントリー ウイスキー11年ぶり増産』
という見出しの記事が掲載されている。記事本文の中で,
『好調の一因は,ハイボール人気』と記されている。


団塊世代ジュニアの私には疎い話だが,ハイボールとは,
ウイスキーなどの蒸留酒をソーダ水などで割った飲み物。
かつて,ウイスキーは高級なお酒だった。


ハイボールがこの世に誕生したのは1950年ごろ。
団塊の世代の人が若い頃に親しんだ飲み物だった。
ハイボールはウイスキーを1/5程度にまで薄めるため,
ホッピーと並び,安く飲める庶民のお酒であった。


しかし,低価格アルコールはその後多様な変化を遂げ,
洒落た雰囲気を求める人はカクテルなどに流れ,
低価格にこだわる人はチューハイなどに流れた結果,
ハイボールなどは「昭和遺産」になりかけていた。


なぜ今,ハイボールなのか?
勿論,不況において低価格志向が強まった影響もある。
しかしそれだけなら,チューハイや第3のビールがある。
ハイボールが復権したのは,メーカーの戦略があったから。


ハイボール復活の仕掛け人は,「サントリー酒類」だ。
国内のウイスキー市場は,1983年をピークに減少を続け,
2007年には,その1/5の規模にまで縮小してしまったのだ。
理由は簡単で,ウイスキーから若者が離れていった。
味や価格の問題ではなく,強いお酒を敬遠するようになった。
「男性の軟弱化」の一現象とも言えるだろう。


ウイスキーを主力とするサントリーにとってみれば,
市場規模縮小は由々しき事態ではある。
そこで拡販策の乗り出しに迫られたわけだが,
目をつけたのがハイボールというわけである。


しかし,いきなりハイボールを一般消費者に売ったとしても,
同価格帯のチューハイやビールの中に埋没して終わるだけ。
そこで業務用のハイボール販売に目をつけた。


ハイボールは,「安物のお酒」のイメージがあるものの,
美味しいハイボールをつくるのは意外に難しいとされる。
かつては,バーテンダーが独自に作っていたが,
その技は今となっては,継承されていない。


ウイスキーにソーダを混ぜればいい,というのなら,
一般家庭でも簡単にできそうに思えてしまうが,
「本物のハイボール」を作るには,高圧力の炭酸ガスと,
厳格な温度管理が必要になってくるというのだ。


バーテンダーの技術に頼らず,品質を守るためには,
ハイボール専用のサーバーが必要になってくる。
そこでビール向けサーバーが得意な「ニットク」と,
サントリーは共同でハイボール専用サーバーを開発した。


そして誕生した専用サーバーが「角ハイボールタワー」。
1つ目の特徴は,コーラ飲料よりも強烈な炭酸パワーだ。
通常,コーラのガスボリュームは3.6程度とされているが,
角ハイボールタワーでは,4.2以上を可能としている。


炭酸の力を強める理由は,ノドごしの刺激を増すため,
爽快感の効果が強まることを狙っている。しかし,
ガス圧力を強めると,ホースが破裂する場合があるという。
そのため,角ハイボールタワーのホースには,
ステンレス製の補強材で,安全性を高めている。


ガスの圧力を高めても,すぐに炭酸が抜けては意味がない。
そこで,グラスに注いだ後も炭酸が液体に残る工夫が必要。
角ハイボールタワーは,ウイスキーとソーダ水を,
別々のパイプで注ぎ口まで運ぶ手法を採用している。


サーバーのノズルは,太いパイプの中に,
もう一つの細いパイプを通したような構造にして,
内側からソーダ水,外側からウイスキーを出している。
すると炭酸が,うまい具合に液体へ溶け込んで,
強烈な“泡”が長く持続するそうだ。


2つ目の特徴は,温度管理だ。ちなみに,ハイボールが,
最も美味しく感じる温度は摂氏3度だとされる。そのため,
ウイスキーとソーダ水は共に摂氏1〜2度で冷やし,
混ぜる際に発生する熱が加わると,ちょうど3度になる。


ウイスキーとソーダ水は元々常温だが,冷やす仕組みは,
ニットクがお得意の瞬間冷却式のビールサーバーと同じで,
冷却水に浸したパイプを通るうちに冷えるようになっている。


具体的な製法は,ウイスキーとソーダ水を1:4の割合で混ぜ,
アルコール分8%まで希釈して,炭酸ガスを付加する。
ガス圧は,1平方センチ当たり1.8キログラムに保っており,
最も「心地よい」口当たりになるという。


ハイボールに病みつきになる人が増えるというのは,
ウイスキーとハイボールのマッチングにあると言われる。
ソーダ水がウイスキーのきつい香りを和らげ,
さらに独特の甘みが残るため,ウイスキーが苦手でも
ハイボールなら飲めるという人も多いのだ。


角ハイボールタワーのもう1つの特徴は,デザインにある。
装置の中身はサントリーとニットクの共同開発だが,
ボディは,欧州から輸入されたものを採用している。
サーバーが上品だと,見た目からも飲みたくなるもの。
ここまでくれば,ハード面においては勝算十分。


しかし,いくら高品質で高級感が漂う装置であっても,
実際に採用してくれる飲食店の確保が必要になる。
サーバーの原価は不明だが,かなり高額と予想され,
リスクを負ってまで,積極的に導入する店は少ないはず。


そこでサントリーは,「角瓶」を品ぞろえする飲食店に限り,
なんと無償で角ハイボールタワーをレンタルしているのだ。
サントリーは,飲食店経営者らを対象にして,
ハイボール普及の講習会なども定期的に開催している。
サーバー設置店を,今年中に現在の5倍の500店に増やす計画。


ハードや商品の売りっぱなしだけで普及する時代ではない。
ソフト面でのフォローがあって,消費者も振り向いてくれる。
サントリーがウイスキーの増産に転じられたのも,
緻密なハイボール誘い込みの戦略があってのもの。
マーケティングの基本とは,このようなものである。
| ビジネス関連 | 19:03 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark | 昨年の記事
株主優待はいらない
昨日の日本経済新聞朝刊16面に,
「株主優待引当金」を計上する企業が増えている,
という内容の記事が掲載されていた。


会計の世界でもほとんど馴染みのない名称だが,
株主優待制度を採用する企業が増えている中で,
それらに関わるコストをどのように会計処理しているか,
また将来にわたって支出が見込まれる場合,
負債性引当金として計上すべきかどうかについて,
十分に検討する必要が出てきたというわけだ。


日経の記事によれば,現在,
株主優待制度を採用する企業は約1,100社にのぼり,
これは上場企業の約1/4の規模にまでなっている。
株主優待の中身については,
製造業であれば自社製品であったり,
サービス業であれば店舗の利用券など様々だが,
個人株主が多い企業は,それなりに負担が大きい。


株主優待自体は昔からある制度なのだが,
今になって会計処理云々の話が出てきたのは,
会社計算規則の施行によるものである。


同法第6条第2項第1号では,
『将来の費用又は損失(収益の控除を含む)の発生に備えて,
 その合理的な見積額のうち当該事業年度の負担に属する金額を
 費用又は損失として繰り入れることにより
 計上すべき引当金』
については,事業年度の末日において,
その時の時価又は適正な価格を付すことができる,としている。


ここまでは従来の一般的な引当金と同じ概念なのだが,
同項の最後に括弧書きで,
『株主に対して役務を提供する場合において
 計上すべき引当金を含む。』
とある。


これが株主優待引当金の根拠法令と解釈されている。
法務省では株主優待コストも引当計上してもおかしくはない,
というスタンスのようだが,会計の世界が追いついていない。


資産や売上規模の大きい企業であれば,
株主優待コストなど“ゴミ”同然の存在だが,
会社規模が小さいにもかかわらず,
一丁前に株主優待制度を導入している企業では,
相対的にコスト割合が大きくなるわけで,
重要性の観点から引当が望ましい,という話にはなる。


ただ,実際に計上するとなれば,
いくつかの問題点も浮き上がってくる。
まずは「合理的な見積り額の算定方法」だろう。


引当金である以上,合理的な見積もりが必要だが,
例えば,自社製品を送付するのであれば,
直近で把握している株主数から推定できるはず。


ただ,商品の割引券のような場合,
使用されるタイミングが把握できないことや,
死蔵あるいは廃棄される可能性もあるため,
使用率を見積もるのが難しい。


ただ,これも過去の実績の平均値を使うのが一般的。
だから,見積り額算定が不可能という理由で,
引当金計上しないという理屈は成り立たない。


問題は,株主優待に関わるコスト(あるいは値引き)が,
いわゆる会計上の費用(あるいは売上高の控除)として,
処理されうるものなのか,という点である。


一般の消費者に対して割引券等を配布するのであれば,
上記のような会計処理で問題ないと思われる。
ポイント割引や商品券などと同じと考えられるからだ。


ただ,株主優待の場合,対象は「株主」に限定される。
だとすれば,販促のために利用される割引券や,
商品の無償配布とは意味合いが異なることになる。


販促の場合,無償配布やポイント配布をするのは,
「次」の購買意欲を高めるために他ならない。
一時的には損失を被ることになるわけだが,
次回の購買行動によって,利益を取り戻すのである。
その意味で費用と収益には対応関係がみられる。


しかし,株主優待の場合,
投資対象会社の商品やサービスに対して,
必ずしも関心を持っているとは限らないのである。


実際,「ソースは嫌いだ」と言いながら,
ソース会社の大株主になった変わった人もおられた。
また,お付き合いで株を持合をしている企業などは,
株主優待商品の処分に困っているところもある。
つまり投資会社の売上には直接関係はしない。


だとすれば,単純な「販売促進費」とは言えないはず。
中には,「交際費」として損金不算入とする企業もある。
事業と関連性が薄いのであれば,当然交際費だろう。


いや,そもそも株主限定の利益の提供であれば,
「配当金」として捉えることもできるはず。
交際費も配当金も,税務上では同じ社外流出項目だが,
会計上の処理は全く異なるものとなる。


費用としての性格が薄いのであれば,
剰余金からの充当として捉えられるわけであり,
販売促進費あるいは交際費などを使い,
損益計算書を一度通す性格ではないように思う。
バランスシートの中で完結する話ではないか。


簡単に言えば,株主優待とは配当金のオマケだ。
穿った見方をすれば,薄い配当に対するまやかしである。
ド素人の俄か投資家を呼び込む策として有効だろうが,
余分な手間とコストをかけるならば,
増配で株主へ利益を還元するのが本筋だ。


買収対策としても注目されている株主優待だが,
これも真っ当な経営を続けているのであれば,
敵対的買収も恐れるに足らずだろう。


投資家のご機嫌取りや,囲い込みが目的だけならば,
そんな株主優待はやめてしまえばいい。



| ビジネス関連 | 13:09 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark | 昨年の記事
沖縄県人が北海道案内
沖縄県の「那覇バス」は,北海道の「宗谷バス」に,
女性バスガイド8人を派遣する契約を結んだという。
ただし,派遣期間は6月1日から9月30日までの限定。


新聞記事はこちら


意外なことだが,沖縄県は夏の時期,閑散期だいう。
夏でも観光客は多いと思っていたのだが,
個人客はあるものの,団体客は少ないという。


逆に,北海道は夏の時期に団体客のピークを迎えるし,
その期間は限られてしまう。10月になれば寒くなるし,
4月いっぱいまで観光には向かないためだ。


そこで,余った人材を活用しようというわけで,
那覇バスでは2005年に労働派遣業の認可を取得。
派遣業の認可って結構簡単なんだよね。
グループ企業間の余剰人員の活用のため,
各子会社に労働派遣業の認可を取得させて,
人材が足りない会社に補充するなんて手法もある。


那覇バスでは,この3年間で,延べ約30人のバスガイドを,
レンタカー会社の営業要員として派遣しているという。
ただ,今までは那覇市内のみの派遣だったが,
今回は一気に北海道まで飛び越える。


大変なのは,派遣されるバスガイドさんたちだろう。
派遣されるのは利尻島,礼文島の両営業所だが,
全く土地勘のない場所を“ガイド”するわけである。


既に,ガイドは両島の観光案内を猛勉強しているそうだが,
今後,現地での実習を経て,本番に備えるという。
2〜4時間の観光コースを担当するようだが,
さすがに,最初はきめ細かいガイドは無理だろうねえ…。


那覇バスのバスガイドは,いわゆる正社員なのだろうか。
であれば,一般の派遣業者に頼らない人材活用として,
お互いに非正規労働者を増やさずに済む。


働く方も,大変だけど,面白いんじゃないかな。
いや,私も夏は北海道,冬は沖縄に住んでみたいな,
なんて思っている方なのね。暑さと寒さに弱いから。


ま,昔の「出稼ぎ」みたいなものだけど,
今までは定常的に仕事を確保するのが難しかった。
バスガイドのように,季節によって,
安定的に労働力の需要と供給がある場合には,
今後定着していく可能性もある。


さすがに私は,バスガイドは無理だけど,
季節によって働く場所が違う職種はないものか。
遊牧民みたいな仕事があってもいい。



| ビジネス関連 | 12:35 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark | 昨年の記事
乱立するICカード乗車券
関東ではICカード乗車券(兼電子マネー)として,
JR東日本の「Suica(スイカ)」が完全に定着したが,
私鉄系は「PASMO(パスモ)」の名称を使っている。
ベースは同じJR東日本のシステムであり,
乗車券としての使い勝手は変わりないが,
ブランド名は分かれている。


これにより当初,2つのカードを持つ人が増えて,
PASMOの発行が追いつかなくなくなり,
発行制限がしばらく続く要因となったが,
電子マネー規格が乱立する中で,
電子乗車券までも複数あるのはいかがなものか。


いや,関東圏は2つだけだからまだいい。
福岡県では3つのICカード乗車券が誕生する。

1.九州旅客鉄道(JR九州):SUGOCA(スゴカ)
2.西日本鉄道:nimoca(ニモカ)
3.福岡市交通局:はやかけん

なんだか,ごちゃごちゃして分からないでしょ。


それでも一番分かりやすいのが「はやかけん」か。
一応,意味はあるらしくて,次のとおり。
「は」=速くて
「や」=優しくて
「か」=快適な
「けん」=券
ま,強引な「当て字」であることは明らか。


ちなみに,スゴカは「Smart Urban GOing CArd」の略称。
「凄か」という九州弁と掛け合わせているのだろうが,
中身は従来のICカード乗車券と変わりがないんだけどね。


ニモカは,何かの略称の当て字というわけではなくて,
「バスにも,電車にも,買い物にも」使えるカード,
っていう意味みたい。あんまりヒネリがない。


ところで,これら3つのカードと,
Suicaが相互利用できるようになるという。
福岡市の住民がどれか1つのカードを保有すれば,
市内の公共交通機関を使えるだけではなく,
Suicaエリアで使えることによって,関東圏及び,
仙台市と新潟市でも利用できることになる。


逆に,Suica保有者は福岡へ行けば,
公共交通機関を使えるようになるわけで,
ブランド乱立による弊害は最小限となりそうだ。


しかし,消費者に分かりづらいことは間違いない。
なぜ,日本の企業は独自ブランドにこだわるのか?
そもそも,日本のICカード乗車券のモデルになったのが,
香港で普及した「オクトパス(八達通/Octopus)」。


香港では,地下鉄,バス,電車,路面電車,フェリー,
ケーブルカーなどが網の目のように張り巡らされ,
通勤客はオクトパス1枚だけで,
一体の交通機関のように利用できるのである。


オクトパスという名称も,洒落ている。
タコの足のようにからみあった交通網と,
改札を通過するという「パス」を引っ掛けている。


オクトパスさえあれば,乗り物に乗れる。
こういうシンプルな安心感が利用客には理想的なはずだ。
それなのに,訳の分からないブランド名を乱立させ,
実害は少ないにしても,不安感を与える日本の現状は,
個人的には実にいただけないと思っている。



| ビジネス関連 | 19:00 | comments(2) | trackbacks(0) | pookmark | 昨年の記事
コンビニと売店
「コンビニ飽和論」がまことしやかに語られている。
確かに競争は激しいが,本当なのだろうか?
セブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文会長は,
コンビニ飽和論については強く否定する。


セブンイレブンの不振について鈴木会長は,
古い店舗が多く,立地の変化に対応しきれていない,
と説明するが,今後どのように変化すべきなのか,
については明確な方針を示していない。


コンビニはセブン,ローソン,ファミリーマート,
サークルKサンクスの大手4社で,
店舗数が約34,000店あり,国内の約8割を占める。
この4社が同じ地区で激しく張り合う構図が多い。


この大手4社の2007年度の店舗増加数は,
前年度比で6割減の約330店に落ち込んだ。
これは,ここ10年間では最低の水準。
新規出店はあるものの,既存店の閉店が影響している。


コンビニ飽和論が出てくる背景には,
各社とも同じような店作り,品揃えだからではないか。
だから,自宅や会社で一番近いコンビニを利用する,
というのが実態なのではないだろうか。
価格で差別化を図るところもないしね。


同じような店が乱立すれば,淘汰されるのは当然。
特に,立地で“貧乏クジ”を引いたところは,
撤退していかざるを得ないのだろう。
業界トップのセブンでさえ,2009年2月期には,
600店を閉鎖する計画になっている。


従来のコンビニの事業モデルでは,
顧客層は,20〜30歳の男性がターゲットになっている。
店舗面積に限りがあるため,
品揃えをある程度絞る必要はある。


そこで購買力のある若い男性に目を向けるのは当然だが,
その事業モデルに縛られているのが現状ではないのか。
コンビニの存在意義とは,その名称のとおり,
「利便性」にあるはず。


24時間オープンしている時間的な利便性,
近い場所にあるなど空間的な利便性,
そして,好況料金の支払を取り扱うなど,
サービスの利便性なども兼ね備える。


消費者にとってみれば,身近にコンビニが多いと助かる。
しかし,コンビニも公益事業ではないから,
損益分岐点より低い場所での出店はしない。


すると,各社とも似たり寄ったりの立地に集中する。
数十メートルの間にコンビニが2つも,3つもあっても,
消費者にとってはそれほど有益性はない。


今,コンビニ飽和が問題となっているのは,
単に立地の集中にあるだけだと思う。
現在は,「負け組」がそのエリアから撤退し,
残存者が利益を確保し,その穴埋めを,
まだ他社が進出していないエリアの新規出店で,
カバーしていく調整の段階なのかもしれない。


そのような出店の調整は今後も続いていくはずだが,
従来のようにオフィス街や住宅地や郊外路面などは,
ほとんどが手を付けられてきており,
エリア初の新規出店は少なくなってきているはず。


となれば,ニッチなエリアを志向してもおかしくはない。
私は先月,骨折をして病院へ行ってきたが,
そこは一昨年入院したときと同じ病院である。


そして,今回行ってみて「へえ」と思ったのが,
以前,売店があった場所にローソンが出店していたこと。
ローソンは三菱商事と共同で,全国の医療施設に,
いわゆる「ホスピタルローソン」を展開している。


ただ,通常の店舗よりはやや小規模で,
品揃えも若干少ないような気がするものの,
今まであった売店とはやはり品揃えが違う。


コンビニの主力商品は,おにぎり,弁当や調理パンなど,
主食のバリエーションの広さだろう。
これは従来の売店にはないものである。
大手ならではの開発能力がものを言う。


また,ペットボトルの銘柄も前の売店とは違う。
新商品がすぐに投入されるからだ。
旧来型の売店は取引先が固定化されているため,
古い商品を継続的に売っていることが多いのだ。
これは飲料に限らず,菓子類などにも共通する。


また,店内をじっくり見ていると,
通常のローソンともちょっと品揃えが違うことに気づく。
私が嫌いな和菓子の種類が多いのだ。


病院というのは,高齢者たちの巣窟である。
入院病棟も外来も,高齢者たちで溢れている。
彼らの好物といえば,和菓子ということで,
店舗側でもターゲットに合わせたMDを行っている。


そして何よりも,先端のインフラを扱える点がよい。
その代表が電子マネーだろう。
私も,店の中をのぞいて,特に買いたいものはなかったが,
電子マネーを使いたくて,ガムを1個買ったりした。


病院内にはATMが設置されているものの,
現金を用意せずに決済できるのは嬉しいもの。
現金をあまり持ちたくない入院患者は,
特に電子マネーの恩恵が大きいのではないか。


セブンイレブンでも学校や病院,工場向けに,
小型コンビニの出店を始めるようだ。
店舗面積は標準店の1/4程度の大きさで,
2年間で100店の出店を目指すという。


商品数は,既存店の半分程度にして,
弁当や飲料,雑誌などをメインとして,
雑貨類などは減らすようだ。
また,入居施設にあわせて営業時間を変え,
24時間営業は前提としないという。


本日(4月14日)からは「ミニセブン」の第1号店として,
世田谷区に「セブン―イレブン駒沢大学店」が開業した。
17日には,つくば市に「筑波宇宙センター店」も開業する。


実は,企業や病院からは,出店要請は増えてきているという。
消費者ニーズに対して柔軟に対応できる品揃えは魅力的だ。
一方,コンビニ各社は規模のメリットが薄いため,
今までは小規模店舗の出店には慎重だったが,
その反面,旨みも大きいメリットを重視してきたのだろう。


というのは,独占的利益を得られるからだ。
既存コンビニは,激しい競争にさらされているが,
施設の中で独占的に営業権を持ち続けるため,
安定した売上を守り続けることができるのである。


今後,企業,病院,大学などの建物内に,
コンビニが進出してくることは間違いない。
そして,施設利用者の利便性が増すことも事実。


そのあおりを食う形となるのが,既存の売店だろう。
私も今働いている職場の売店では,
やはり電子マネーが使えないのが痛い。


しかも,チョコレートの品揃えが悪くてねぇ…。
なにせ,チロルチョコもないぐらいだから(それが基準か)。
あと,もっと高級タイプを置いて欲しいのだが,
明治の板チョコなんて置かれても買わねえっつうの。


コンビニが今後,ミニ化してきて,
各施設の中に進出してくることは大いに結構。
古くからある売店は,残念ながら消えていくしかない。



| ビジネス関連 | 19:20 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark | 昨年の記事
曲がり角のスターバックスコーヒー
「スターバックスコーヒー」のサイト内に,
注文方法などを説明するコーナーがある。
それが「スターバックス活用術」
スタバの常連にとっては何をいまさらという内容だが,
喫茶店タイプのコーヒーに馴染んできた中年オヤジたちが,
ひそかにこのサイトで注文方法を勉強しているらしい…。


確かに,カスタマイズというサービスは,
従来のコーヒー喫茶にはなかったかもしれない。
しかも無料と有料のカスタマイズがあるので,
料金精算時にトラブルとならないためにも,
事前に内容をチェックしておくのも賢明か。


また,コーヒー好きなら迷わないコーヒー豆選びも,
ある程度好みの銘柄を頭に入れておく方がいい。
店頭でマゴマゴしていると,ヒンシュクものだし。
ただ,「シアトル系コーヒー文化」に慣れるまでには,
ちょっと時間がかかるのかもしれない。


とはいえ,街の中で人の流れを眺めてみれば,
歩きながらコーヒーを飲む人の姿もありふれてきた。
これもシアトル系文化の1つと言えるだろう。
「リッド」と呼ばれる飲み口が付いた蓋によって,
歩いて揺れても,こぼれないカップだからできる芸当。


これを蓋を取って飲んでいたら,完全なオヤジだ。
そんな文化は絶対に受け付けられないというなら話は別だが,
リッドタイプのカップが必要とされたのも,
禁煙が厳しくなった米国で,喫煙場所を探してさまよう人が,
歩きながらでもコーヒーが飲めるように配慮したのが始まり。


ゆっくり,椅子に座ってコーヒーを飲む,
というのが基本であることには,個人的にも同意できる。
リッドを通して飲むコーヒーは,味が変質してしまい,
私には美味しいと思えないから。


さて,スタバといえば,言うまでもなく,
1971年に米国シアトルで発祥したコーヒーチェーン店。
今や世界最大のコーヒーチェーンとなり,
大量出店によって業績は拡大する一方だった。


しかし,米国スタバに異変が表面化したのは昨年11月。
2007年7月〜9月期の業績発表が行われたが,
一店舗当たりの来客数が前年同期比1%減と,
四半期ベースで初の減少となったことが明らかになった。


翌四半期の10〜12月期には,前年同期比3%減と,
さらに落ち込みに拍車がかった。特に既存店売上高が,
減少に転じたことが大きかった。


ちょうどその頃,サブプライムローンの損失拡大が発覚。
米国内の景気後退が鮮明となる中で,
スタバもその影響を受けたという見方もあったが,
実はそんな単純な理由ではなかった。


それよりも前に変調の予兆はあった。昨年2月,
米国消費者向け有力批評誌「コンシューマー・リポーツ」が,
チェーンレストランのコーヒーの味を比較したところ,
なんと米国マクドナルドが1位の評価を得たのだ。


スタバについては「目から涙が出るほど焦げて苦い」と酷評。
それまで高品質が自慢だったスタバに衝撃を与えた。
しかも負けた相手がコーヒー専門チェーンではなく,
ハンバーガーの片手間でコーヒーを提供するマックだからだ。


「スタバ VS マック」の過酷な競争が始まっている。
米国マクドナルドの内部資料によれば,今後,
全米14,000店舗に専用のコーヒーコーナーを設置し,
専門スタッフがカプチーノやエスプレッソなど,
付加価値の高いコーヒーを提供するという。
スタバに流れた朝食客を奪い返す戦略だ。


環境の変化や,経営戦略に不具合が生じれば,
迅速に対応するのが米国流の経営だ。
1月7日にジム・ドナルド最高経営責任者(CEO)を事実上更迭。
スタバを世界に広げたハワード・シュルツ会長が,
8年ぶりにCEOに復帰し,矢継ぎ早にテコ入れ対策を発表した。


まずはリストラ。9月までに米国内の赤字店舗約100店を閉鎖。
新規出店ペースを大幅に抑制し,従業員を約600人削減する。
スタバは,全世界で17万人を雇用しているが,
削減対象はあくまでも米国内従業員に限定し,
さらにマーケティングや財務部門など事務系が中心。


接客にあたる店舗従業員の数は,当面据え置くという。
リストラはサービス低下につながる危険性がある。
シュルツCEOは,景気減速や競争激化が,
スタバの収益の低下につながっているとは考えていなかった。
根本の原因は品質の低下にあったからだ。


2月26日,スタバの全米7,100店舗が一時閉鎖された。
商品の欠陥などが見つかったためではない。
エスプレッソの入れ方を店員に再教育するためだった
閉店は午後5時半から9時までの3時間半にわたり,
約13万人の店員が現場で再教育を受けたという。


米国大手外食チェーンが営業時間内に,
一斉に店を閉めるのは異例のこととされる。
それだけ「スタバ離れ」が深刻だったともいえる。


スタバがシアトルでコーヒー店を開いた頃は,
コーヒー豆や入れ方に深い知識を持った店員が,
直接,客の前で豆をひいてコーヒーを入れていたそうだ。


しかし,大量出店による規模拡大を急いだ結果,
売上増加やコスト削減には成功したものの,
大勢の顧客に対応する必要性から,
機械化が進み,またコーヒーの知識に乏しく,
入れ方に不慣れな店員が増えて,品質劣化を招いた。


スタバの原点はあくまでもコーヒーの品質であり,
それを支えるのが現場の従業員というわけだ。
しかし,数時間の教育で品質が向上できるわけでもない。
また,スタバでは今後数年をかけて,
最新鋭のエスプレッソ・マシンの導入を計画しているが,
消費者の支持を回復するのは時間がかかるだろう。


米国スタバではさらに,従業員からの不満も表面化してきた。
ところで日本では,「名ばかり管理職」が問題になっている。
日本マクドナルドの従業員が,
十分な権限がないのに「店長」などの肩書きが与えられ,
残業代がカットされたとして,訴訟を起こしたことだ。


東京地方裁判所は同社に対して,残業代の支払を命じた。
この裁判をキッカケとして,他の外食産業では,
給料体系を変更した上で,残業代を支払うなど,
影響が広がってきている。


スタバでも同様のケースが発生しており,
「スーパーバイザー」という肩書の店員が,
管理職か一般店員かで論争になっているというのだ。


米国には「チップ」という風習があって,
顧客がサービスに満足した場合,
その提供者に対してチップを渡している。


顧客が置いていったチップは,
従業員全員に配分されるわけだが,
管理職であるスーパーバイザーは,
チップを受け取る資格がないとして,
一般店員がスタバを訴えたのだ。


スーパーバイザーが管理職に該当するかどうかは,
米国の裁判所で判断することなので立ち入らないが,
現場の従業員にいろいろな不満がたまっていることは,
サービスの品質低下につながることは間違いない。


スタバは優れたビジネスモデルとして賞賛されてきたが,
急成長の陰で,ほころびが見えてきたことも確か。
一度落ちた集客力を取り戻すのは簡単ではないが,
一杯一杯のコーヒーの味を美味しく地道な方法だけが,
残されているようだ。



| ビジネス関連 | 11:30 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark | 昨年の記事
セブンーイレブン,「QUICPay(クイックペイ)」の取扱いを開始
セブンーイレブン・ジャパンは,4月7日から,
後払い式電子マネー「QUICPay(クイックペイ)」の取扱いを,
全国12,034店舗で開始する。


セブンーイレブンでは,従来,
独自規格「nanaco(ナナコ)」のみを取り扱っていたが,
電子マネー規格が乱立する中で,
独自規格一辺倒ではさすがに無理があると判断したのだろう。


しかも,「マルチリーダー」の導入が世の中の流れ。
イオンでも独自規格「WAON(ワオン)」を推しつつも,
「Edy(エディ)」と「iD」も使えるマルチリーダーを導入し,
決済方法の選択肢を増やしてきている。


現在,主に8つの規格が広まりつつあるが,
これだけ乱立すると電子マネーの普及そのものに,
弊害が出ないか心配するところではあった。しかし,
マルチリーダーの登場でその心配はやや遠のいた。


ただ,各店舗でなるべく多くの規格を採用することが重要だ。
しかも個人的には後払い式電子マネーの導入を望んでいる。
前払い式はチャージが必要になることから,一度,
現ナマを用意しなければないないのが面倒なためだ。


後払い電子マネーの規格は,主に3つある。「iD」,
「クイックペイ」,「「Visa Touch(ビザタッチ)」の3つだ。
idはNTTドコモと三井住友カードが規格主体であり,
クイックペイはJCB,ビザタッチは当然VISAが立ち上げたもの。


これらの規格はカード会社との提携で成り立っており,
カード決済感覚で支払を済ませることができる。
しかも,基本的にはサインレスでお手軽。


ところで私は今まで,iDだけを導入していた。
ローソン,ファミリーマートのコンビニだけでなく,
上記のとおりイオン系店舗でもiDが使えるようになり,
徐々に使える店舗が増えてきているのが嬉しい。


イオンの場合,ショッピングセンター全体で,
マルチリーダーを普及させている点が評価できる。
先日も家の近くにあるイオンSCの専門店街で,
いろいろと買い物や食事をしたのだが,
全てiDによる決済で支払ってみた。


ところが,店員の教育がまだ浸透していないようで,
レジ端末が使い方を習熟しておらず,
待たされる店舗があったことには呆れてしまった。


イライラして,こっちがやり方を教えてたりして,
「お詳しいですねえ〜」
なんて店員からおだてられたりしたものの,
お前がもっと勉強しろと思ったけどさ。


まあ,使う人間がまだ少ないということもあるし,
これみよがしに電子マネーを使う私が悪いのかも。
ただ今後,間違いなく電子マネーは普及するはずだし,
特にマルチリーダーの使い方は店員教育を強化して欲しい。


ファミマやローソン,イオン系でよく利用するIDだが,
逆に言えば,カード決済が不可能で,
さらにiDが使えない店舗で買い物はしたくない。


だから,セブンーイレブンなんてまず行かない。
セブン&アイグループでしか使えない電子マネーなんて不要。
いろんな場所で使えるからこそ,“マネー”なわけでしょ。
閉鎖的な通貨なんて,図書券以下の存在だろう。


ただ,セブン&アイも独自規格の限界に気づいたのか,
ようやくマルチリーダーの導入を決めたようだ。
といっても,まずはクイックペイのみだけどね。


しかし,私にとっては後払い方式が採用されるだけでも,
使い勝手はよくなりそう。しかも,クイックペイは,
地場スーパーなどで採用が広がってきている。
利用可能にしておいても,今後損はないかもと判断。


電子マネーが便利なのはサインレスだけではなく,
携帯電話端末に複数規格をインストールできるので,
複数のカードを持ち歩かなくてもよいところだ。


というわけで,クイックペイのアプリをインストするため,
既に所有しているJCBカード会社に申し込んで,
IDとパスワードの発行を申請したところ。


1週間もすれば,導入が可能になるはずなので,
4月7日までには間に合いそう。
その日は月曜日だから,少年ジャンプの発売日。
早速,セブンでクイックペイを使ってみようと思っている。



| ビジネス関連 | 19:50 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark | 昨年の記事
価格.com「大幅値下げランキング」
価格比較サイト「価格.com」は,
発売時からの値下げ幅の大きさをランキング表示する
「大幅値下げランキング」をサイト上に開設した。


同ランキングでは,サイト上で取扱っている商品の中から,
パソコン,家電,カメラなど,204のカテゴリの中から,
値下げ幅の大きな上位30製品を紹介している。


昨年冬のボーナス時期に特別企画で実施したが,
好評だったことから常設化を始めたようだ。
発売時からの値下げの比較だけではなく,
3ヶ月間など直近の期間との比較もできるため,
値下げ動向を調べるには使いやすい。


で,旬はやはりDVDレコーダーの大幅値下げランキング
早速調べてみたら,案の定の結果だった。
上位5位のうち,4製品が東芝のVARDIAシリーズ。
しかも第1位と第2位はHD-DVD機だ。


第1位のRD-A300は64%の“暴落”。
とはいえ,63,400円もするし,価格はまだ高い。
この値段が買う人がいれば,相当勇気がある人か,
記念品感覚で買う人だろう。


先週末の一部報道以後,
急激にHD-DVD対応機の値段が急落している。
家電販売店では,東芝の正式撤退発表前に,
在庫を投売りし始めたと見られている。
株式市場で言う「狼狽売り」ってやつかな(笑)。


在庫品は東芝が回収するだろうから,
下手に販売すると,消費者から恨まれるような…。
ま,この時点で購入する人間は,
自己責任を自覚して買っているだろうから,
クレームはあまり起きないのかな。


株式取引でも値上げと値下げのランキングがあり,
人気の動向を調べるには非常に分かりやすい指標。
商品価格の比較でも有用になりそう。



| ビジネス関連 | 13:15 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
「分冊百科」のビジネスモデル
雑誌(月刊誌,週刊誌)の販売額は,
1998年以降,減少基調が定着化している。
2006年まで11年連続の減少である。


1998年といえば,金融危機が始まった頃。
その後,デフレ・スパイラルに突入して,
消費者が支出内容の選別を始めた頃でもあり,
惰性的に購入していた雑誌類も削減対象となった。


雑誌凋落の原因としては,
インターネットの出現が挙げられている。
確かに1998年ぐらいから個人PC市場が広がり,
ネットに接続する人も増えてきた頃。


ただ,ネットと雑誌はトレードオフの関係ではない。
雑誌のコンテンツが全てネットに掲載されてはおらず,
ネットで,雑誌の内容が分かるものでもない。


とはいえ,少なくともパソコン雑誌の内容などは,
その概略などはウェブにアップされていることが多く。
確かに私は10年ぐらい前からパソコン雑誌は買っていない。


もう1つは,雑誌に対しての価値観が変わったこと。
雑誌販売が減少している決定的な要因は,
定期購読者が減少しているためだ。


昔は一度購入を決めたら,ずっと買い続ける読者がいた。
彼らの“忠誠心”が薄らいだという見方がある。
そして,見たい特集記事のある号だけ買っていくわけだ。


これは消費選別の結果かもしれないが,
ネットの普及によって,知りたい情報は検索して,
即座に「つまみ食い」するスタイルが,
定着したのかもしれない。


そのように厳しい雑誌業界の中にあって,
「分冊百科」市場だけは成長を続けている。
ただ,同市場が根付いてきたのは最近のこと。


日本で一番最初に発売された分冊百科は,
日本メールオーダー社の「週刊アルファ大世界百科」。
1970年に発売された。しかし,このときは定着しなかった。


その後,分冊百科が注目されることはなかったが,
状況が一変したのは1994年に省心書房という出版社から,
「クラシック・コレクション」が発売され,
創刊号が180万部も売れたことだった。
これは雑誌業界ではいまだに“伝説”とされている。


音楽CD付で290円という低価格が衝撃的だった。
CD単体でも500円以下で売られることはまずないし,
しかもCDはあくまでも雑誌の「オマケ」である。


なぜこのような低価格が実現できたかといえば,
省心書房があくまでも「仮」の姿であったからだ。
中小の出版社がこんな価格設定など不可能な話。
その裏にはイタリアのデ・アゴスティーニ社の存在があった。


本国デ・アゴスティーニは,1901年創業の会社で,
最初は地図の製作などを手掛けていた。そして,
1959年,百科事典を分冊化した「イル・ミリオーネ」を発刊。
これが世界で一番最初の分冊百科とされる。
その後,欧州では分冊百科のスタイルが定着していく。


世界で30カ国以上にまで分冊百科事業を展開した同社だが,
日本市場への参入はかなり慎重だった。
まず,同朋舎出版(既に倒産)と業務提携。
1988年から同朋舎出版と提携して,分冊百科を投入。


そして1994年には同朋舎通じて,省心書房を買収したのだ。
つまり,本格的に日本での事業展開を決断したのだろう。
そんな状況で発売されたのが「クラシック・コレクション」。


クラシック音楽は,「世界共通」のコンテンツと言える。
実際,同様の内容で欧州でも発売されており,
製造ロット数が桁違いに多いため,規模の効果が生まれる。


製造工場もシンガポールで一括委託して原価を下げ,
またクラシックは版権対価が少なくて済む。
発注方法にしても,テーマ選定にしても,
日本の出版社では無理な企画だったかもしれない。


なお,省心書房は1997年になると,
「デアゴスティーニ・ジャパン」へ会社の名称を変更。
分冊百科“本家”の日本法人であることを明確にして,
その後,矢継ぎ早に新シリーズを発売していった。


分冊百科事業の核は,とにかく「数量」に尽きる。
特に創刊号は原価割れ覚悟で低価格に設定するため,
シリーズ全体でどれだけ売れるかを予測する手段にする。


分冊百科シリーズの場合,創刊号が一番多く売れて,
2号以降は一気に売上が減っていく。
ところで面白いのは,どんな分野のシリーズであっても,
売り上げの落ち方の「放物線」は,同じ形を示すという。


つまり,創刊号がどれぐらい売れるのか,
その数量の「高さ」が重要になってくるわけだ。
放物線の形が同じという前提であれば,
創刊号の数量さえ分かれば,
全体の売上の量も推定できるわけだ。


デアゴスティーニの分冊百科の売り方にはパターンがある。
まず,静岡県や宮城県,広島県など中規模都道府県で,
創刊号以下,数号をテスト販売する。


そこで売上が好調だったものだけを全国展開していく。
そして,売れないと判明したシリーズは,
途中で打ち切って販売を止めてしまう。


例えば,クラシック音楽は爆発的に売れたものの,
同じような手法でジャズ音楽を取り上げても売れず,
実際,全国発売には至らなかったのである。


全国展開が決まったならば,集中的にテレビCMを放映する。
創刊号発売から2週間だけ集中的にスポットCMを流すが,
投じる金額は,約3億円で,広告宣伝費の大半を占める。


その後は,「生産調整」の腕の見せ所となる。
2号以降は値段も定価へ戻されることから,
よほど興味を持っている人しか買わない。


一気に販売部数は減少していき,4号目で半分になるとされ,
18号当たりで創刊号の3割まで減るとされる。
当然,生産量はどんどん絞っていくことになり,
小さな書店などには流通が行き渡らなくなる。


3号以降が購入しずらくなるのは,生産調整のためだ。
出版社側としても,作りすぎると廃棄ロスが出るため,
販売機会の損失を覚悟しても,生産を絞る必要がある。
その数量を的確に予測できないと収益寄与しない。


このようなノウハウが必要になるため,
分冊百科の市場にはなかなか参入できない。
実際,デアゴスティーニは日本の市場の8割を押さえる。


また,グローバル展開できるのも同社の強み。
『地球の鉱物コレクション』でも,
世界の「石」を集めることは,国内出版社では無理。
無理というよりも,コストに見合わない。


デアゴスティーニは,世界で同じシリーズを発売しており,
実際,イタリアの宝石や鉱物を扱う商社と契約して,
大量に仕入れていてコストを下げている。


シリーズによっても違うが,最終号は100号程度まで続く。
そこまで購入し続ける人は,ごく僅かとなっていくが,
コレクター(収集家)は必ず最後までやり遂げる。


分冊百科は,幅広く,持続的に知識を吸収するのではなく,
「集める」という要素も重要になってくるわけで,
そのために「オマケ」の質が問われてくる。


正確な販売・生産計画と,興味をひきつける商品企画。
さらに消費者に負担を感じさせない価格設定など,
デアゴスティーニの分冊百科における優位はまだ変わらない。



| ビジネス関連 | 15:00 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark | 昨年の記事
「日刊ランキングニュース Rankies」
私はほとんどネットでは時間を費やさない。
毎日,巡回するサイトも身内のブログのみ。
前にも書いたけど調べもので使うこともないし,
ブックマークも10個ちょっとしかなかったりする。
普通の人は同じようなものなのかな?


さて,そんな私が最近,毎日閲覧しているのが,
「日刊ランキングニュース Rankies」
実にたわいのない内容なんだけど,
妙にクスッて笑えるところが軽くていい。


何人かの筆者が,勝手にテーマを決めて,
それのランキングを作っているわけ。
ほとんど主観的に選んでいるわけで,
ランキングに意味はないんだけど,
知らない施設やグッズ,食品,マナーなど,
雑学的な知識を得られたりもする。


1月22日分ではホーチミンの「バイクの掟」。
ベトナムは原付バイク社会だが,
人間よりもバイクが優先するというから驚く。
日本の感覚で道路を渡る危険ってことね。


さて,バイクを乗る連中にも「掟」があるようで,
それをランキングにしたのが下のような結果。

第1位:さらば、ノーヘル天国!
第2位:運転中は横と後ろは見ない!
第3位:バイクは4人乗り!
第4位:最大積載量=積めるだけ!
第5位:アオザイに注意!?

あれだけ多くのバイクが走っているわけだから,
一人ぐらいノーヘルでも分からないだろう,
ってことで皆ノーヘルにしていたのかもしれないが,
昨年末から取締りが厳しくなったみたい。


高額な罰金刑に処せられることから,
やむなくヘルメットを着用しているようだが,
日本ももっと罰金を高くすればいいのにね。


さて,2位は実に危険な行為に思えるが,
あれだけのバイクが密集していると,
全方向の移動体を把握するのが無理か(笑)。
だとすれば,前だけを見るっていうのは合理的かも。
これを日本でやられたら困るけどさ。


3位と4位はよくわること。
問題は5位。アオザイとバイク?
この関係が意味不明なのだが,
サイトを見てみると理由はよく分かる。


過去の記事もたどっていくと,
なかなか面白いランキングがある。
NHK紅白歌合戦とエレベータのマニアにはたまらない?



| ビジネス関連 | 10:03 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark | 昨年の記事